妙法蓮華経_従地湧出品第十五

法華経

みょうほうれんげきょう_じゅうじゆじゅっぽんだいじゅうご

ついに核心部の後半

ここから法華経の後半部です。ここも構成はストーリー設定の「序分じょぶん」、大切な核心部分の「正宗分しょうしゅうぶん」、布教を勧める「流通分るつうぶん」があることには変わりません。ただし、後半部は少し変則的で、序分はこの章の最初から(ネタバレになりますが)地涌の菩薩じゆのぼさつの出現まで、正宗分は弥勒みろくの疑問にお釈迦さまが答える部分からです。三段構成の区切りが変則的になるのは、いよいよ法華経の核心部分に触れるからです。

おさらいですが、お釈迦さまは見宝塔品けんほうとうほん以降、出現させた巨大な塔に多宝仏たほうぶつと並び、お釈迦さまが現じた清浄世界でずっと教えを説いています。ここには法華経が真実だと悟ったものしかいません。この連載の最初にお伝えした「予測した末の世の人々を救うための暗号」を覚えているでしょうか?役者が出揃い、いよいよお釈迦さまから私たちへの暗号へとつながります。存在感を増した80万憶もの素晴らしい菩薩たちが救世主なのか?見ていきましょう。

湧出品のストーリー

他の世界から来た80万億もの素晴らしい菩薩たち。お釈迦さま亡き後、この娑婆世界はとても悪い世界になります。それでも彼らは「私たちが布教しましょう」と自ら買って出ました。「見るからに優秀な彼らがお釈迦さま亡き後の救世主となるのか?」。一同がかたずを飲んでみまもっていると、お釈迦さまはこう応えます。

「いや、その必要はない!私には大河の砂の数に等しいほどの菩薩たちがいる。さらにその菩薩の一人一人に、また多くの弟子たちがいる。私の亡き後、彼らがこの教えを弘めるだろう。」

なんということでしょう!巨大な塔と共に中空に浮かび上がったこの清浄世界には、成仏を約束されたものばかりです。その中でもひときわ素晴らしい菩薩たちの申し出をお釈迦さまはあっさり断ったのでした。

みんなが驚く間もなく、全世界の地面が激しく揺れ、地面が割れてそこから幾千万憶もの菩薩たちが湧き出てきました。みんな光を放ち、まるで仏様のような円満な顔立ちです。地下の不思議な世界に住んでいて、お釈迦さまの声を聞いて出現してきたのです。地面から湧き出でてきた素晴らしい菩薩たちを「地涌の菩薩じゆのぼさつ」と名付けましょう。地涌の菩薩には上行菩薩じょうぎょうぼさつをはじめとして、無辺行むへんぎょう浄行じょうぎょう安立行あんりゅうぎょう菩薩と4人のリーダーがいました。彼らはまるで、古くから知っていたかのように

「お釈迦さま、つつがなくお過ごしでしょうか。救うべきものたちは、ちゃんと法華経を信仰しているでしょうか?」

と挨拶し、お釈迦さまも

「何も問題はない。ここにいるもの達は、過去世から私が指導しているからみな幸せの境涯に至っている。」

と、ごく当たり前に応じられます。

なぞがなぞを呼ぶ

「なぜ突然、地涌の菩薩が現れたのだろう」「さらに彼らは古くからお釈迦さまと面識がありそうだ」「いつの間にこんな大勢の弟子が?」。

みんな初めて見る地涌の菩薩を不思議がっています。他の世界から来た菩薩たちも不思議がってそれぞれの師匠である仏の分身に問います。場がざわついたところで、弥勒菩薩みろくぼさつが代表してお釈迦さま尋ねました。

「お釈迦さま。この無数の素晴らしい菩薩たちはどこから、そしてなぜ来たのでしょう?誰が彼らに教えを説き、彼らはどんな修行をしたのでしょう?私たちは最初からお釈迦さまを知っていますが、私たちは地涌の菩薩のことを見たことも聞いたこともないのはなぜでしょうか?」

お釈迦さまは答えます。

「弥勒菩薩よ。今こそ真実を告げよう。地涌の菩薩たちは、私がこの娑婆世界しゃばせかいで悟りを得て以来、遥か昔からずっと指導していたものたちなのだ。彼らはこの世界の地下の清浄世界でずっと修行を重ね、幸せの境涯を悟っているのだ。」

それでも分からない

弥勒菩薩はお釈迦さまに尋ねます。

「お釈迦さま。あなたは釈迦族の王子だった時に王宮を出て悟りを開きました。それから40数年しか経ってません。その間にこれほど多くの菩薩たちを指導してきたのですか?これほど多くの菩薩を指導するのには果てしない時間がかかるはずです。彼らを指導してきたとはにわかに信じられません。例えれば、25歳の若者が百歳の老人を指さして『あれは私の子供で、私が育ててきたのだ』と言っているようなものです。みんな信じないでしょう。どうか、この疑問にお答えください、お釈迦さま!」

まとめ

お釈迦さま亡き後の悪い世界で法華経を弘めるのは、80万憶の素晴らしい菩薩たちではなく、突如地面から湧きあがってきた「地涌の菩薩」たちだとお釈迦さまは教えられます。しかし、お釈迦さまは40数年前に出家し悟りを開いたはず。この間、誰にも気づかれずに、無数の地涌の菩薩たちを指導してきたのでしょう?彼らはいったい何者なのでしょう?未来の成仏を約束された弥勒菩薩の問いに、次章でお釈迦さまは答えるのです。

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