みょうほうれんげきょう_かんじほんだいじゅうさん
普通の女性がメイン
この章には「不惜身命」という有名なワードが出てきますが、今回のお話のメインは、女性です。「昔は男尊女卑の社会だった」というステレオタイプがありますが、法華経は必ずしもそれにあたらないようです。しかし前章の竜女成仏は、「八歳の少女」「竜王の娘」と少し特殊な設定ですよね。しかし今回は、あくまで「普通の女性」にスポットがあたります。
勧持品のストーリー
大悪人の提婆達多、畜生の姿をした八歳の女の子の竜女、この二人が成仏し、幸せの境涯に至った姿を目の前で見て、薬王菩薩と大楽説菩薩、また二万の菩薩たちは、この教えの素晴らしさに改めて感服し、お釈迦さまにこう誓いました。
「私たちはあなたが亡くなった後も、この教えを広めます。お釈迦さまが亡くなった後の世界は、悪い人ばかりだと聞きます。地位や名声を求め、まるでこの世を悟ったかのような態度で、お釈迦さまの教えを修行していない人たちばかりです。そのような高慢な人たちにこの教えを広めることは大変難しいでしょう。しかし、私たちはわが身を惜しまず精進します!ですからお釈迦さま、どうかご安心なさって下さい。」
先に幸せの境涯に至ると約束された五百の修行者たちも誓いました。
「私たちは他の世界でこの教えを広めます!」
お釈迦さまの教えを学び尽くせぬほど習得し、同じく幸せの境涯に至ると約束された八千のもの達も誓います。
「私たちも他の世界でこの教えを広めます!なぜこの娑婆世界じゃないかというと、この世界の人は、思い上がっていたり心根が悪い人たちばかりで私たちには無理だからです。」
女性たちの成仏
お釈迦さまの叔母にあたり、育ての母でもある摩訶波闍波提と、そばにいた女性の修行者たちはお釈迦さまを一心に見ていました。その心を感じとったお釈迦さまは、このように応じました。
「叔母さん。どうして浮かない顔で私をジッと見ているのでしょう。ご自身が幸せの境涯に至れないと思ったのですか?前に『みんな成仏する』と言ったではないですか。あなたがたは、未来世において多くの仏に仕え、勝れた僧となるでしょう。他人の為に生きる菩薩の修行をした後に、一切衆生喜見仏になるでしょう。」
その時、お釈迦さまの妻であった耶輸陀羅尼は
「なぜ私だけ何も言われないのだろう」
と思いました。するとそれを察したお釈迦さまは応じられました。
「あなたは来世において多くの仏に仕え、他人の為に施すという菩薩の修行をし、勝れた僧となるでしょう。そして、具足千万光相仏となるでしょう。その寿命は図れ知れないほど永い。」
女性たちはこの上なく歓喜し、この教えを他の世界で広めることを誓いました。
八十万億の菩薩
みんな決意を新たにしたところで、お釈迦さまは周囲を見渡します。お釈迦さまの目の先には、八十万億とも知れないおびただしい数の、ひときわ素晴らしい菩薩たちが映っていました。彼らは何事にも屈しない信心の心を持ち、教えをよく理解しています。そうして彼らは、お釈迦さまの意向を感じたかのようにみんな一斉に立ち上がり、お釈迦さまに礼拝して、決意を述べました。
「お釈迦さまが亡くなられると、この娑婆世界は恐怖の悪い世界になります。みんな欲深く、怒りや嫉妬、媚びへつらい、知恵浅く、悪い心のものばかりでしょう。僧の姿をしていても、傲慢で、真実を知りもしないのに、知ったような口を聞くものがいる。
何を信じればいいのか分からないこんな悪い世界で、この妙法蓮華経を説こうとすれば、さまざまな障がいに遭うでしょう。悪口を言われたり、罵られたり、危害を加えるものさえいるでしょう。
しかし私たちは、堪え忍ぶ心の鎧を身にまとい、この身命を惜しまず、この正しい教えを求めるのです。また、他に正しい教えを求めるものがいれば、どこにでも出向いて、お釈迦さまから教えられたこの妙法蓮華経を教え広めます。なぜなら、私たちは仏の使いなのですから。
だからお釈迦さま。どうか後のことは憂慮なさらず、ご安心下さい。お釈迦さまとそして、この中空に浮かんだ巨大な塔の前に集まられた分身の仏さまたちの前で、私たちはこうして誓うのです。」
まとめ
多くの女性たちの成仏が約束されました。みんな歓喜し、それぞれの世界で法華経を広める事を決意します。しかしどうやら、お話は次の展開を迎えそうです。お釈迦さまが亡くなられた後の世界は、とんでもなく悪い世界が到来。話題はじょじょに、悪い世界の到来へと移ります。最後に登場した、八十万憶の菩薩たちは、その布石となるのです。


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