妙法蓮華経_授学無学人記品第九

法華経

みょうほうれんげきょう_じゅがくむがくにんきほんだいきゅう

法華経の構成

法華経ほけきょうは全28章ですが、その内容は前後2つに大別されます。前半14章を「迹門しゃくもん」、後半14章を「本門ほんもん」と言います。以前「お経は序分じょぶん正宗分しょうしゅうぶん流通分るつうぶんの3つの構成である」とお伝えしましたが、法華経は、迹門・本門のそれぞれに序分・正宗分・流通分の3つの構成がありますので、全部で6つの構成ということになりますね。「序分」はストーリー設定。「正宗分」は大切な核心部分。「流通分」は、布教の勧めです。方便品ほうべんぽん第二から授学無学人記品第九までが迹門部分の正宗分、つまり、今回は前半主要部のラストです。

真実の証明

これまで「過去の教えはあくまで仮の教えで、法華経が真実だ」と一貫して説かれました。これまでどんなに頑張っても成仏できなかったもの達が成仏を遂げることはすなわち、「法華経こそが真実」がお弟子さんの身をもって証明されたことになるのです。

今回は、学=仏法を学んでいるもの、無学=一切の迷いや煩悩を断ち切りもはや学ぶべきことがないほど学び尽くしたもの、この両方のお弟子さんたちが成仏を約束されます。

授学無学授記品のストーリー

お弟子さんの中には、阿難あなん羅護羅らごらもいました。阿難は、他の誰よりもお釈迦さまの教えを多く聞いたお弟子さんでした。羅護羅は、お釈迦さまの実の息子で、父の影響から15歳で出家し、他の誰よりも厳密にお釈迦さまの教えを守って修行してきました。二人は「私たちも幸せの境涯に至ることを約束されたなら、どんなにうれしいだろう」と思い、お釈迦さまの前に行き、礼拝してこう言いました。「お釈迦さま。阿難はずっとお側について説法を聞いてきました。羅護羅はまさしくお釈迦さまの実の子でございます。私たちも、成仏の確信を賜りたく存じます」。学・無学のお弟子さんたち二千人も、合唱したまま一心にお釈迦さまを仰ぎ見ています。するとお釈迦さまは告げます。

阿難あなんよ。お前はこれから多くの仏に仕え、大河の砂の数に等しい幾千万億もの菩薩ぼさつに教えを伝え、その功徳により山海慧自在通王如来せん(さん)がいえじざいつうおうにょらいという仏になるであろう。その時代は、はかり知ることができないほど続き、寿命が尽きてもその功徳は正法しょうぼう時代はその倍、像法ぞうぼう時代はまたその倍続き、多くの仏にその功徳を賞賛されるだろう。」

ところで、お弟子さんの中には、この法華経を聞いた結果、自分の幸せを願うだけではなく他に施すことが大事であると気づかされたものもいます。そうした境涯を「菩薩ぼさつ」と言いますが、八千人の菩薩たちは、阿難あなんの成仏が約束されたことを聞いて思いました。

「これまで大菩薩だいぼさつと称される弟子ですら成仏を確約されたものは少ないのに、これまで自分の幸せのみを願ってきた阿難あなんが、なぜ成仏を約束されたのだろう?」。

お釈迦さまは、菩薩ぼさつたちの思いを察し、こう告げました。

「皆のものよ。私と阿難あなんはかつて空王仏くおうぶつの下で共に修行した。阿難はいつも一つでも多くの教えを聞くことを願い、それゆえ私は、悟りを得ようと、より一層の精進に励むことができたのだ。そして私は仏となり、阿難は私の教えを守って多くの菩薩たちに教えを伝えてきた。この功徳ゆえ、成仏を約束できるのだ」。

阿難あなんは、過去の因縁を明かされ、成仏を約束されたので、大いに歓喜しました。

次にお釈迦さまは羅護羅らごらに言いました。

「これからも幾度となく仏の長男として生まれ、多くの仏に仕えるだろう。そうして、蹈七宝華如来とうしっぽうけにょらいという仏となるだろう。その寿命は、阿難あなんと同じくらい長く続くだろう」。

そうして、お釈迦さまは学・無学の二千人のお弟子さんたちを見ます。皆、疑念を抱くことなく清らかな気持ちで一心にお釈迦さまを仰ぎ見ていました。

お釈迦さまは告げます。

阿難あなんよ。この学・無学の二千人のものたちを見たか。彼らもまた多くの仏に仕え、皆それぞれの国で同時に宝相如来ほうそうにょらいという仏となるだろう。その寿命は長く続くだろう。」

学・無学のお弟子さんたちは、幸せの境涯に至ることを約束され、大いに歓喜しました。

まとめ

法華経が説かれるまで「自分の考えに固執して他に施すことを忘れたもの達」は、成仏できないとされてきました。しかし、他に施すという菩薩の境涯を教えられ、次々に成仏に至ります。方便品ほうべんぽんからここまでは、そうしたものたちの成仏がずっと明かされたのでした。

さて、これで前半部の核心である「正宗分しょうしゅうぶん」を終え、次から「流通分るつうぶん」です。とはいえ、本門ほんもんの布石になっていたり、悪人成仏が説かれたり、私たちが手を合わせるご本尊様の形の由来など、より内容が濃くなってきます。楽しみにしていてください!

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