みょうほうれんげきょう_けじょうゆほんだいなな
それでも分からない
お釈迦さまは「過去の教えはあくまで仮の教えで、法華経こそ真実だ」と説きました。勘の鋭い弟子はすぐに理解し、多くの人は前回の授記品で理解しました。しかしそれでもなお、ピンとこない大勢の弟子たち…。この章はそういう人に向けた教えです。
化城喩品のストーリー
お釈迦さまは
「皆のものよ。例えば、この世のあらゆる世界をすりつぶして墨にし、筆でチョンとごく小さな印をつける。そして千個先の世界に行ってまたチョンと印をつける。こうやって墨が無くなった時、いくつの世界を経るだろうか?さらにまた、それらの世界も全部すりつぶして塵となし、その塵粒の数は計り知れないほどの数になるだろうが、その数が「一劫」という単位だ。ところでこれから話すことは、一劫の無量無辺百千万億阿僧祇倍も昔の話…。仏である私はそんな昔のことも鮮明に覚えている。」
そしてこう続けます。
「計り知れぬほどの遠い昔、大通智勝仏という仏がいた。過去世の功徳によりこの仏の寿命は五百四十万億那由他劫であったが、あと一歩のところでなかなか悟りを開けなかった。一小劫から十小劫もの間、微動だにせず瞑想したが、なお悟れず。神々は仏の法を聞くため荘厳な座を作り、今や遅しと待っていた。そしてついに、その時が来る。大地は六種に振動し、世界はまばゆい光で包まれた。」
16人の王子
「大通智勝仏はもとは一国の王であり、16人の王子がいた。父が悟りを得たことを知った16人の王子は、大勢の家来たちを伴って駆けつけ、『仏さま、どうか真実を説いて下さい』と請うた。だが、大通智勝仏は『四諦』といって、苦悩やその原因、またその原因を取り除く方法やその道筋を説いた。また『十二因縁』といって、十二の因果を明かして『無知を滅すれば苦悩を滅す』と説いた。王子やその家来たちは、一応は迷い苦しみから脱し、清浄な心を得て力を得た…。
十六人の王子らはまだ子供だったが、出家して小僧となる。もともと賢明な王子は次第に悟りを求めるようになり、『仏さま。みんな修行して成長しました。今こそ、一番大切な法をお説き下さい』と請うた。
仏は願いに応じ、一番大切な教え(=菩薩への教え)の法華経を説き、そして八万四千劫の瞑想に入る。王子らはそれを理解したが家来たちは疑念を抱いたので、仏の瞑想中に王子らは仏に代わり法華経を説き続けた。
大通智勝仏は瞑想を終え、家来たちにこう告げた。『お前たちの主人である16人の王子たちは、今や尊い菩薩となった。この菩薩たちは必ずや仏となるであろう』」。
因縁を明かす
ここまで話すと、お釈迦さまはついに過去の因縁を明かします。
「皆のものよ。16人の王子は、常に他の幸せを願い、今もまさに法華経を説いている。輪廻転生を繰り返して法華経を説き、その功徳による寿命は未だ尽きない。一人は東方で阿しゅく仏となって歓喜国におり、二人目は須弥頂仏となった。みなそれぞれ仏となり自分の世界で法華経を説いている。そして第16番目の王子こそ、私、釈迦牟尼仏でありこの娑婆世界で法華経を説くのだ。
私は小僧の時から幾千万ものもの達に法を説いた。しかし今なお、自分の考えに固執し、他に施すこと忘れたものがいる。彼らに法華経を理解させるため、私が教化したのだから、次第に幸せの境涯に至るだろう。真実は信じ難く悟り難いから、長い時間がかかるのだ。
私が遙か昔から教化してきたもの達。それは他でもないお前たちだ。皆のものよ。このように私であれ大通智勝仏であれ、仏とは、巧妙な手段を使い真実に導くために仮の教えを説くのだ。」
化城宝処のたとえ
お釈迦さまは、仮の教えを説く理由をこう話されました。
「例えば、未開の遥かかたなにすばらしい宝があるとしよう。だが道険しく、諦めんとするものが大勢いた。これでは到着できないと悟った先導者は、巧妙な手段を使う。皆を休ませるため、不思議な力ですばらしい城を出現させたのだ。皆のやる気が回復したころ、城を消してこう言う。『みんな!実はこれは仮の作り物の城だったのだ。だが、宝は目前にある。頑張ろう!』。そして皆は再び宝へ向かい歩みだす。」
お釈迦さまは最後にこう締めくくります。
「皆のものよ。私は、皆にすばらしい宝=法華経を理解させるため、生死の苦悩や煩悩という険しい道中に、仮の教えを説いた。もし最初から法華経しか説かなければ、皆は『難し過ぎる』『信じられない』と諦めるだろう。すなわち、お前たちのために、仮の教えである四諦や十二因縁を説いた。よいか。これまでの仮の教えに安住し、他に施すことを忘れてしまった皆のものよ。ゴールは目前なのだ。今こそ私は皆のものを幸せの境涯へと導くのだ」。


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