妙法蓮華経_授記品第六

法華経

みょうほうれんげきょう_じゅきほんだいろく

独特な用語について

お釈迦さまの時代は私たちとは違いますので、独特な用語や概念があります。「小功」は時間の単位。「那由多」は数の単位。仏教のみならず当時のインドで使用されていた概念ですので、仏教に詳しくは説かれません。しかし、お釈迦さまの本意は、その数が具体的にどれくらいなのかではなく、みんなが幸せの境涯に至ることです。いずれも、数えきれないほどの天文学的数字との理解で差し支えありません。

「正法」「像法」はいずれも時代の名前です。仏様が入滅されたのち、仏様の教えが世の中に正しく残っている間を「正法」、仏様の真意は損なわれたが形だけ残っている間を「像法」といいます。ちなみに、そのいづれも残っていない時代を「末法」といい、仏教的には現在は「末法」といいますが、それは法華経の後半部で説かれます。

「授記」とは

この章の表題は「授記品」といいます。「授記」とは、仏様から「あなたは未来に必ず幸せの境涯に至る」と成仏を約束されることをいいます。この授記品のように、個別に約束されることを「記別」とも言います。これまでみてきた通り、法華経ではまず舎利弗が記別を受け、先に悟った舎利弗が他のものたちの為に、意図的にお釈迦さまに質問して説法を請いました。また、須菩提たちが「これで合ってますか?」とたとえ話でお釈迦さまに質問し、前回の薬草喩品でお釈迦さまがそれに補足をして「皆、成仏する」と約束されます。しかし、これでは”ピン”とこない弟子たちに、今回お釈迦さまは個別に成仏の約束をされるのです。それでは、授記品の中身を一緒に見て行きましょう。

授記品のストーリー

お釈迦さまはこう言われました。

「ここにいる十大弟子の一人、迦葉は未来において必ず幸せの境涯に至るだろう。来世において三百万億もの仏に仕え、純潔を守って修行するだろう。そして『光明如来』という仏となる。その国は光徳といって一切の汚れなく、宝物に満ちて美しい花が咲誇り、清らかで光り輝いている。そこには数えきれないほどの、自他の幸せを願う菩薩たちがおり、何事もなしうるといわれる不思議な通力を備えている。また数えきれないほどの仏弟子たちがいる。たとえ邪心あるものが現れてもたちまちに心を入れ替え仏を守護するだろう。 その時代を大荘厳いう。寿命は十二小劫にわたり、滅したのちも正法・像法と呼ばれる時代も、その功徳はそれぞれ二十小劫続くだろう。」

そのとき、迦葉と同じくお釈迦さまの十大弟子である目連と須菩提と迦旃延は歓喜して大いに震え、礼拝し、じっとお釈迦さまから目を離すことなくこう請いました。

「私たちもお言葉を賜りたく存じます。飢えた人に突然ご馳走を与えても、最初は疑念を抱いて手を付けないようなものです。私たちも幸せの境涯に至ることは分かるのですが、具体的にどうなるのか核心が欲しいのです。どうぞ、個別にお言葉を下さいませ。」

弟子たちの願いを知り、お釈迦さまは皆に告げました。

「須菩提はこれから三百万億那由多もの仏に仕え、『名相如来』という仏になるだろう。宝生と呼ばれるその国もまた清らかであり、やはり数えきれないほどの菩薩や仏弟子たちがいるが、仏は中空で法を説き、多くのものを成仏させるだろう。その時代は有宝といって寿命は十二小劫にわたり、正法・像法と呼ばれる時代も、その功徳はそれぞれ二十小劫続く。」

「迦旃延は八千億の仏にお供えをして仕え、仏が滅した後には宝物で装飾された壮大な塔を建立し、二万億もの仏を供養するだろう。そうして『閣浮那提金光如来』という仏になるだろう。その国もまた清らかで、苦しみや貪り、愚か、争いの境涯のものはおらず、天と地から数えきれないほどの人や天、仏弟子や菩薩たちがいる。寿命は十二小劫で、正法・像法と呼ばれる時代も、その功徳はそれぞれ二十小劫続く。」

「目連も八千もの仏にお供えをして仕え、仏が滅した後に宝物で装飾された壮大な塔を建立し、二万八千の諸仏を供養するだろう。その後、『多摩羅跋栴檀香如来』という仏になるだろう。 意楽と呼ばれるその国もまた、清らかで、天や地から数えきれないほどの人や天、仏弟子や菩薩たちいる。時代は喜満と言って、寿命は二十四小劫にわたり、正法・像法と呼ばれる時代もまた四十小劫続く」

こうしてお釈迦さまは、教えを請うた十第弟子の一人ひとりに、皆、幸せの境涯に至ると確約されたのち、

「他の我が弟子たちよ、よく聞きなさい」

と続けるのでした。

まとめ

この章の内容は、授記だけで、方便品以降、テーマは一貫して「他に施すことが大事」ということです。次章では、十大弟子のみならず、普通の人たちの成仏が説かれます。

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