無量義経_説法品第二

法華経

むりょうぎきょうせっぽうほんだいに

法華経は、聖徳太子の時代より、最もありがたいお経とされています。天台宗の開祖である天台大師智顗ちぎ、日本の天台宗の宗祖である伝教大師最澄さいちょう日蓮大聖人にちれんだいしょうにんも、法華経を基本としています。その理由はいくつかありますが、「お釈迦さまは法華経にのみ真実の教えを説かれているから」というのもその理由の一つです。これが(業界では)有名な「四十余年未顕真実しじゅうよねんみけんしんじつ」の文で、ここに見られますが、さっそく説法品第二の内容を見てゆきましょう。

説法品第二のストーリー

お釈迦さまの説法を聞くために集まった大勢の人々。仏さまを礼拝し、讃嘆し終わったあと、大勢のお弟子さんの中でもエリートなお弟子さん達が「お釈迦さま、私たちは疑問に思うことがあります。皆がすぐに幸せの境涯(=成仏)に至るためには、どのような教えを修行すればよいのでしょうか?」と問いかけます。
するとお釈迦さまはこう告げました。

「よろしい、私の弟子たちよ。私はもうすぐこの世からいなくなってしまう。だから、残された皆のために、疑問に答えよう。

ここにすべての真理に通じた最上の教えがある。この教えを学べば幸せの境涯に至ることができるだろう。すべての私利私欲から離れ、そしてすべての人々を救いたいという慈悲の心を起こしなさい。それが一番大事であり、すべての真理に通じた教えはこれ以外にはないのだ。この真理悟ったものは、未来永劫にわたって守護されるであろう。」


実はここに、真実の教えの一端が明かされたのですが、しかし、お釈迦さまの弟子のエリート達ですら、いまいち理解できません。

実はこれまでは仮の教えだった!

お釈迦さまはこう続けられます。

「私は菩提樹の木の下に座って瞑想し、修行をして六年目に悟りを開いた。すべての真理に通じ、皆のものを幸せの境涯へと至らしめる教えを悟ったのだ。そして四十数年間、方便を使って大勢のものたちに教えを説いてきたが、実は四十数年間、一度も真実を明らかにはしていないのである。だから、これまで私が説いてきた教えのどれを修行しても、完全なる幸せの境涯に至ることはできないのだ。

皆のものよ、よく聞くがよい。例えば、洗濯するのには水を使うであろう。水の汚れを洗い流すその性質はただ一つではあるが、海の水、川の水、池の水、沼の水、井戸の水と、いろいろあるし、汚れの種類もさまざまだ。

これと同じように、真実の教えも一つであり、煩悩の汚れをよく洗い流す。しかし煩悩は人によって異なり、その洗濯の方法も煩悩によって異なる。だが、忘れてはならない。水が汚れを洗い流すその性質は変わらないということを。

性格は人によって異なる。だから私も相手によってさまざまに教えを変えていたのだ。仏の知恵はすべての煩悩を洗い流すが、弟子の理解の具合によって最初の教え、次の教え、またその次の教えと変わっていたのだ。迷わないように同じ言葉を使ってはいたが、その教えは理解に応じて変えていたのだ。だから、弟子それぞれの理解も違うのである。」

こうやってお釈迦さまは、四十数年の間、説いてきた教えの内容と順番がどう違うのかをお弟子さんたちに明かされたのでした。

お釈迦さまが今ここに初めて真実の一端を明かされると、全世界がそれを祝福するかのように振動し、空から美しい花々や宝が雨のように降り注ぎ、天のご馳走が並べられ、天女は舞い、音楽を奏で、得も言われぬ美しい光景が広がったのです。お釈迦さまの教えを聞きに集まったお弟子さんたちは、喜び、仏様を礼拝し、讃嘆したのでした。そして真実の教えを習得しようと皆、心に固く誓ったのでした。

要点

四十数年間お釈迦さまの教えを修行してきたエリートですら、まだ幸せの境涯には至っておらず、疑問を抱えていた。

  • 四十数年間、お釈迦さまの教えを修行してきたエリート弟子ですら、まだ幸せの境涯には至っておれず、疑問を抱えていた。
  • お釈迦さまがいなくなり、とんでもなく悪い世の中が到来することを示唆している。
  • これまで真実を教えていないと言っている。
  • 真実の教えの一端を実は教えているが、その詳細は説かれない。妙法蓮華経という名前も明かされていない。

思い出していただきたいのですが、前回「法華経の直前に無量義経を説いた順番が重要」と述べましたが、この説法品第二によって、これから説かれるであろう法華経が、真実の教えであることが分かるのです。

まとめ

お釈迦さまは悟りを開いて以来、四十数年間さまざまな教えを説いてきのですが、実はまだ真実を明かしていませんでした。そしてここに真実の一端を明かしますが、そのことに歓喜したお弟子さんたちは、これから説かれるであろう真実の教えを信仰しようと固く心に誓うのでした。ただ、まだ真実を悟ったわけではありません。妙法蓮華経の題目及びその内容が明かされるのは、もう少し先のお話になります。

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